神殺し!の1歩手前まで。

 

これは自慢とかじゃないんですけど
私の彼氏、とても優しいんです。

 

彼とは付き合って
もうすぐ1年半になるのですが
付き合いはじめよりも
優しくなってきてるんです。

 

 

いい彼氏に出会えたなって
よく思うんですよね。

 

 

おおっと!
のろけてる場合じゃなかった!

 

そういえば、自己紹介が
まだ、でしたよね?

 

 

私、菜月(なつき)
彼氏は晴太(はるた)

 

なっちゃん!はる君!
って呼ぶ仲なんですよ(笑)

 

 

はる君は付き合って最初から
優しかったわけじゃなくて
ある日を境にして
急に優しくなったんです。

 

ちょっとしたエピソードだけど
私にとっては凄く温かいエピソード。

 

ちょっと聞いてくれます??

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇

それは付き合って3か月目の
蒸し暑い日が続く6月のこと。

 

すごくすごくすごく!
もの凄く大切にしていた!
キーホルダーを失くしたんです…。

 

高価なものとかでなく
おばあちゃんからもらった
子供の頃から持っている
愛着あるキーホルダー…。

 

 

昔から持っているので
見た目はお世辞にも
きれいではなく
くたびれた感じでした。

 

私はおばあちゃん子だったので
そのキーホルダーを見ると
温かいおばあちゃんの笑顔を
思い出すことができました。

 

 

 

(おばあちゃん、ごめん…。)

 

 

 

仕事の帰りに
駅の改札を出たときには

まだ、手元にあったことは
分かっていたんです…。

 

駅から自宅への帰り道に
落としたんだと思います。

 

 

 

帰宅して気が付いて
帰り道を探してみたけど
夜道は街灯もあまりなく
暗くて見つけられませんでした。

 

キーホルダーを失くしてしまい
私は、はる君が帰ってくるまで
何もできず泣いていました。

 

 

 

自分のドジさ加減をこの時ほど
恨んだことはありません…。

 

はる君とは早い時期から
同棲していたのですが

晩御飯の用意も全くできず
玄関でただただ泣いて
うずくまっていました。

 

 

 

気が付けば1時間ぐらいは
そのまま動けず
だったかもしれません。

 

その時、玄関の鍵が
ガチャっと音がしました。

 

 

「ただいまー!」

 

 

はる君が帰ってきたんです。

 

 

 

玄関にうずくまっている
私の様子を見て驚いていました。

 

「なっちゃんどうしたの?」

 

すぐに言葉は出てきませんでした。

 

 

 

でも、はる君の顔を見たら
少し心が落ち着きました。

 

それから事情を話したのですが
はる君はすごく真剣に
私の話に耳を傾けてくれました。

 

 

 

話し終わるとはる君は
すくっと立ち上がって

 

「スーパーで弁当買ってくるね!」
と、言って家を飛び出しました。

 

 

話を聞いてもらったからか
心の霧が少し晴れていました。

 

 

キーホルダーがないことに
おばあちゃんの笑顔を
感じれないことに
変わりはありませんが

キーホルダーではない
もっと大切なものが
自分にはあるんだと
このとき、気がついたんです。

 

 

 

弁当を買いに行くと出かけてから
2時間ぐらい経っていました。

 

自転車で15分ぐらいなのに
あまりにも遅いので心配になってきて
電話をかけようとした!

 

まさにその時…

 

玄関の鍵がガチャっと開いて
はる君が帰ってきました。

 

 

 

「ただいまー!遅くなってごめんね。」

 

「何の弁当買うか悩みすぎちゃった(笑)
 からあげ弁当がなくてね…。」

 

 

 

私はキョトンとしてしまいました。

 

 

 

(弁当選ぶのにそこまで悩んだのか…。)
と、心の中でつぶやきました。

 

 

 

 

少し照れ笑いを浮かべるはる君。

 

 

「あ!そうそう、これどうぞ!」

 

 

(ん?なんだろう手を伸ばして?)

 

 

なんと!はる君の手の中には!
失くしたはずのキーホルダーが
あつたのです。

 

 

 

「マンホールの蓋に引っかかってたよ!
 下水道に落ちなくてよかったね!」

 

 

 

よく見ると、ズボンのひざ部分が
真っ黒の砂ぼこりで
汚れているのが分かった。

 

はる君はひざをつきながら
真っ暗な夜道の地面を
こまめに探してくれたんだ。

 

 

 

 

(あんなに暗い夜道の中を…。
 くたびれたキーホルダーのために…。)

 

 

 

そんなことが一瞬のうちに
頭の中をかけめぐって
大きな感謝&感動が入り混じり
思わず声をあげてしまったのです。

 

 

 

 

 

「あなたは神か!!!」

 

 

 

 

 

それを聞いた、はる君は
一瞬キョトンとして
すぐに大笑いしていた。

 

 

「僕が神だって?(笑)
 至って普通の凡人ですよ!」

 

「ハハハハハ!!」

 

「なっちゃんって時々ほんとうに
 おもしろいこと言うよね(笑)」

 

 

私自身も、思わず出た言葉に
大笑いしてしまっていた。

 

 

「さぁさぁ、お腹空いたから
 弁当食べよう!(笑)」

 

 

はる君のこの言葉を聞いて
空いたお腹を満たすために
お弁当を食べました。

 

おばあちゃんの思い出話を
はる君に語りながら。

 

 

◆ ◇ ◆ ◇

 

その日を境にして
はる君は優しくなっていった。

 

そう、優しくというか
私のことを喜ばせてやろう!
という行動が明らかに多くなった。

 

 

テレビで紹介していたケーキを
食べてみたいとつぶやいた時も
次の日にサプライズで
買ってきてくれたり

 

 

仕事が繁忙期で疲れて帰り
何もできずばたんきゅ~して
ベッドでのびていたときも
全身マッサージしてくれたり

 

 

休みの日に夜まで昼寝していた時も
知らぬ間に晩御飯を作ってくれていて
起きたらなんと目の前に!
ご飯が用意されていたり

 

 

 

こういうことが起こるたびに
私の口からは例の言葉が自然と
飛び出してくるのであった。

 

 

 

「あなたは神か!!!」

 

 

 

 

そして、それを聞いてはる君は
いつもゲラゲラ笑っていた。

 

もしかしたら、はる君は
この言葉を聞きたかった可能性が
あるのかもしれない…。

 

 

 

 

そんな優しいはるくんが
なんだか最近、表情が暗いんです。
すごく悩んでるのかな?

 

 

でも、私には打ち明けてくれない…。

 

 

 

こんな暗い表情は今まで
一度だけ見たことがありました。

 

 

付き合って3ヶ月目ぐらいかな?

 

 

仕事の人間関係がうまくいかず
凄く疲れてしまっていました。

 

 

 

この時も、暗い表情の理由を
なかなか教えてくれずでした。

 

最終的に疲れのピークが訪れたのか
ぼそっと打ち明けてくれました。

 

 

 

まだ、神になる前の
凡人のはる君でした。

 

 

 

 

その時と同じような暗い表情で
この2~3日過ごしている。

 

私が声をかけても言葉が
耳に入っていないような
聞こえていないような
そんな感じが続いていました。

 

 

すぐに元に戻るだろうと思いつつも
頭の中では、はる君のことを考えて
仕事もあまり手が付きませんでした。

 

 

元気を出してもらおうと
はる君が好きなハンバーグを
夕食に作りましたが
いつもより反応は薄かった…。

 

 

 

(もしかして私のこと、
 嫌いになっちゃったのかな…。)

 

 

そんなことも考えていました。

 

◆ ◇ ◆ ◇

 

それは、よく晴れた
日曜日の朝のこと。

 

朝ごはんを食べ終わって
お腹が少し物足りず
余っていたリンゴを
テーブルに出した時でした。

 

 

はる君がいきなり!
大きな声を上げたんです。

 

 

 

「リンゴ!そうか!分かったぞ!
 なっちゃん!リンゴだよ!」

 

 

 

もの凄くキラキラした表情で
はる君は私を見ていました。

私は一体なんのことか分からず
ただただ目を丸くしていました。

 

 

 

「この前、テレビで見た古代の歴史クイズを
 ずっとずっと考えてたんだよ!」

 

 

 

「やっと謎が解けたんだ!
 リンゴだよ!リンゴ!
 その問題の答えがリンゴなんだよ!」

 

 

 

「なんで気づかなかったんだろう!」

 

 

今までどんより暗い表情をしていた
同じ人物とは思えないほど
もの凄く晴れやかな表情で
うきうきしていました。

 

 

 

「あれ?なっちゃんどうしたの?
 なんかポカンとしちゃって?」

 

 

 

私の頭の中は、もの凄い速さで
色々なことが駆け巡りつながり
今までのことを整理しようと
脳が必死に動いていた。

 

暗い表情のはる君のことを
どれほど気にしていたか?
どれほど心配したか?
もしかしたら、他に好きな人が?

 

 

 

そんなことをずっとずっと
考えていた自分の状況が
走馬灯のように流れていく。

 

そうとは知らず彼はウキウキした姿を
私に見せびらかすようでした…。

 

 

 

その時。

 

 

 

あたり一面を何とも言えない
凍えるような冷たい空気が
漂ってきたのです。

 

 

 

 

晴太は空気が変わったことを
素早く察知し菜月の顔を
ゆっくりゆっくり見ました。

 

 

 

「!!!!」

 

 

 

怒りを通り越した菜月の顔は
怖いというよりも感情がなく
静かな殺気に包まれていました。

 

 

 

晴太はこの時、
「ある種の死」を

感じたようでした。

 

 

 

なぜなら菜月の精神は
神殺しの1歩手前まで
近づいていたからです。

 

 

 

※この後、はる君はすぐに
私の変化に気付いて

大謝り&美味しいケーキご馳走
&夕食作り&全身マッサージの
スーパーコンボでこのピンチを
なんとか逃れました。

 

 

かくいう私も、
神殺しの大罪を犯すことなく
「一歩手前」で収束できて
ホッとしていました(笑)

 

 

 

 

今でも、この時の私の表情を
はる君は思い出すようで

 

過ちを二度と繰り返さないために
自分の胸の内を早いうちから
話してくれるようになりました!

 

 

いや~!よかったよかった!

 

 

めでたし!めでたし!

 

 

神殺し!ダメ!絶対!
by 晴太&菜月

 

 

 

 

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